遺言執行の選任

相続発生後、遺言がその内容の通り執行されるか不安がある場合等、遺言によって「遺言執行者」を選任することができます。遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し(民法1012条)、相続人の代理人とみなされます(民法1015条)。遺言執行者は、相続発生後遅滞なく相続財産目録を作成して、相続人に交付し(民法1011条)、不動産の名義変更をしたり預貯金の払戻しを受けて各相続人に分配する等、財産の移転を行います。遺言執行者は、遺言によって指定できるほか(民法1006条)、遺言執行者がいないとき又は死亡等によっていなくなったときは、利害関係人は家庭裁判所に対して遺言執行者の選任を請求することができます(民法1010条)。なお、未成年者及び破産者は遺言執行者となることができません(民法1009条)。

遺言執行者を選任することなく相続人同士の協力によって遺言を執行していくことも可能ですが、相続開始後に円滑に手続きを進めるためには、遺言執行者の選任は有用な手段といえるでしょう。
遺言執行者を選任するにあたって遺言者の相続人やその他の親族を遺言執行者として定めることも多いですが、相続手続きには専門知識が必要なケースもありますし、遺言がその内容通りに執行されるか不安がある場合等には司法書士や弁護士等の専門家を遺言執行者として選任することも検討してみると良いかもしれません。また、専門家である第三者が関与することで相続発生後の紛争を予防する効果も期待できます。
遺言執行者を定める際の注意点としては選任される者が独立した立場で遺言の執行を行えるかどうかのほか、その年齢にも留意した方が良いでしょう。相続開始前に遺言執行者が死亡してしまった場合には遺言執行者なく手続きを行うか上述の通り家庭裁判所にその選任の申立を行う必要があります。従って、遺言の効力発生時にも健在している可能性の高い方を選任することが望ましいと言えます。

当事務所にご依頼頂く場合、代表司法書士が遺言執行者として就任し、相続開始後は遺言者の意思の実現のため責任をもって手続きさせて頂きます。遺言書の作成と併せてご依頼頂きますと相続財産や相続人を十分に把握できますので、遺言の執行時も迅速に対応させて頂くことが可能です。

当事務所の報酬: 相続財産の総額の0.5%~1% *最低報酬額 ¥100,000